日本の現実

コロナ禍が始まる前で・・季節はなんだったんだろう・・午前3時頃だったと思うけれど・・

 

家の近くの坂道・・結構急な、下がりきったところは信号になってる坂道を車で下っていた。大宮で路上の占いやって、その帰り道・・家まであと少し、な感じだったのだけれど・・

 

車は左車線を走るから、その時僕は、ある意味当然、みたいな感じで、左車線を下ってて・・右車線を下る人・・下るっていうか・・尻もちついたまま、エッチラ頑張って、足でもがくように、坂を下りてる人がいて・・

 

ん?・・人?・・そんな感じ、僕は思って、僕はその人の隣、な感じで車を止めた。開いてる車の窓から「大丈夫ですか?」

 

その人は男性で・・「飲んでて酔っちゃって・・歩けなくなっちゃって・・僕、障碍持ってて・・」

 

乗ってください・・そう言って、僕は車から降りて、後部席のスライドドアを開けた。その人の脇を抱えて、立ってもらって歩いてもらって・・その場からも、僕の家からも、結構近くにその人の家はあったのだけれど・・

 

その坂道までは駅から歩いて・・ゆっくり歩いても10分・・その人がどこで飲んでたのかは知らないけれど、駅からなんとかそこまでやってきたのだとしたら・・

 

駅・・電車の最終は、午前1時台前半の時刻、かな・・少なくとも2時間近くは、その人はなんとかして、そこまで、来た・・のかもしれない。

 

午前3時のその坂道は、人通りはめっきり、だし、車の通行も、めっきり・・ではあるけれど、近くにはセブンがあるしローソンもある・・坂の下は信号の交差点だから・・車も人も、めっきり、とはいっても、全く、ではない。

 

坂の中腹あたりでその人は頑張ってて・・あの動きだったら、坂の上から中腹までですら、結構時間、かかってた・・はず。

 

幾人もの人、幾台もの車・・その人の存在を認知しながら素通り・・日本の現実。