やっと収まっても、やっぱりここじゃない・・
なぜならその八百屋には、ロクなものが売ってなかったからだ。
その八百屋の駐車場は、車が入れづらくて、何度もバックと直進を繰り返した。
やっと一台分の枠に・・ま、収まったかな・・
車から出て、店の中・・品ぞろえを確認し、
・・やめよ・・
苦労して、せっかく車を停めたのに、僕の判断は意外に早かった。
別にその店には客がきていないわけではないし、だから寂れているわけでもない。むしろ、スーパーが乱立するこの時世のなかで、そんな時世とは無縁に商売を続けるしたたかさを感じる店だった。
あっちはあっち、こっちはこっち・・みたいに、ある意味、己の商売スタンスに、ひたすら忠実であろうとする、そんな気概が漂っていたから、僕はその店の前を車で通りすぎるたびに、いつか行ってみよ、と思っていたのだ。
そして、行った・・駐車には苦労した・・
その苦労を報われたい、あるいは労われたい・・という気持ちで店に入ったわけではなかった。だから、店の品ぞろえを見て、苦労がアダになった、とも思わなかった。
ただ・・やめよ・・と思っただけだ。
他に客はいるし、店の人は忙しく動いている。
活気はある。
でも、そこにあるものすべてが、僕にとっては、無用だった。
でもせっかくだから、なにか一つくらい・・なんて気持ちも起こらず、
・・っていう夢を、リクライニングした椅子に寝ながら見てて、寝覚めの窓の外は暗くなってた。