空き地にて

 

昼下がり、1時間ばかり横になってた時の、夢。

 

・・・・・・・

 

車で江ノ島の近くまで来た。

 

車には家族が同乗していた。

 

もうすぐ海だ・・狭い路地を走ってた。薄暗い、土産物店が並ぶ路地。

 

・・あとでこの辺、歩こう・・車の中で、僕は妻にそう声をかけた。

 

江ノ島に来たら・・そう、あのいつもの場所に車を停める。そこは『ただ』なのだ。

 

料金のかからない、空き地。

 

空き地の縁に、車を停める。

 

どこに停めようかな。

 

停めようにも、空き地の縁には多くの車がすでに停まっている。

 

縁以外の、その空き地では、おじさんたちが草野球の練習をしている。

 

そのおじさんたちの野球チームに、僕は所属している。

 

見つけた空きスペースに車を停めて、車から外に出ると

 

「久しぶり」

 

ひとりのおじさんに、声を掛けられた。

 

「ご無沙汰してます・・今日は野球しにきたんじゃないんですよ」

 

そうおじさんに告げると、僕は少し淋しくなった。

 

「全然出てこないじゃない」

 

「ええ、両手が痺れちゃって、うまくボールが握れない気がして・・それで、おいとましてるんです」

 

他のおじさんが、近づいてきた。

 

その人は、野球チームのメンバーではなかった。

 

「駐車料金4000円ね」

 

「はい」

 

僕は長財布から千円札を4枚抜き出して、そのおじさんに手渡した。

 

・・・・・・・

 

寝覚めに考えた・・そもそも、あの空き地は駐車代がかからないはず、だったよな・・

 

それをいいことに、そこに車を停めるのを僕は、江ノ島に来た時には常としていたわけだ。

 

あの、土の空き地に。

 

人と車でぺったんこの、あの、土の空き地に。

 

僕に駐車料金を請求しに来たあのおじさんは、土の妖精なんだろうな。

 

ぺったんこにされて・・気持ちのいいものではないだろう。

 

せめて4000円、払っておいて、よかったな。

 

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