子供・・一番下の今年度から小4の息子が「パパ、ドッジボールしよ」と言って、僕がいる部屋の引き戸を開けた。
「今、仕事してんだよ」と嘘をついて、かわそうとした。僕は結構、嘘をつく。
嘘の自分と本当の自分。
本当の自分は、パソコンで音楽配信のサイトをいじっていた。
息子は「お願い」と食い下がってる。腕に、小さなサッカーボールを抱えてる。息子に似合ってる。かわいい。
「10分だけな」と条件をつけた。仕事のための条件ではない。疲れたくないための条件だ。
ドッジボール、ではなく、ボールの投げ合い・・小さなサッカーボールを使ってのキャッチボールが、家の外の舗装された道路で開始された。
嘘の自分と本当の自分。
「自分」は「嘘」と「本当」に分裂したまま、つかの間のキャッチボール。
「分裂」・・対義語は、「統一」
スピリチュアルの世界の言説でも、エソテリックな考え方においても、分裂を否定的にとらえ、統一を肯定的にとらえる傾向がある。
たしかに・・9年くらい前に僕にとってのはじめてスマホ・・富士通のアローズ買って・・「操作性イコール誤認性」みたいな・・投げつけてやろうか、のイライラ・・それと、微妙なところでの、デザインの違和感・・このスマホを持ってる俺は本当の俺じゃない・・
僕は分裂していた・・そのスマホを保持する自分を否定していた。
そのスマホは中古屋に売った。高く売れた・・買う人がいるから、高く売れたのだろう。僕が使用したのは、2か月間くらいだったかな。
ガラケーに戻して、安心した・・その安心は・・分裂を止揚した統一・・とは言えない安心、だった。
元に戻っただけだ。分裂を介しての回帰だから、ただの元通り、ではないのだけれど・・ただの元通りなど存在しない。内に分裂を秘めたままの、元通り、だ。
で・・分裂っていう否定的概念・・これは、否定されるべきものなのか・・と思う。
人・・呼吸する・・吸うことにおいて空気は体と統一される・・吐くことにおいて、空気は体から分裂する・・
その過程を通して、人の体は「変化」する・・「進化」とも言える。
人・・死ぬ・・体は腐る・・腐るとは、分裂だ・・分裂して、体は地球に統一される・・分裂と統一の過程・・この過程そのものが、変化だ。進化だ。
地球への変化、進化・・もしくは燃やされ、残滓は壺のなかに。
進化に、分裂と統一は欠かせない。分裂は、否定されるべきものではない。
僕は息子に刻んだ嘘の自分・・対局の、本当の自分・・その両自分を、肯定する。
