昔・・といっても、25年前か・・そんな昔ではないけれど、渋谷のユーロスペースが、ラブホ街あたりに移転した今の場所に移るまえにあったその場所で上映された、小説家井上光晴のドキュメント映画、原一男監督の「全身小説家」
井上光晴が他界してまもなく、な感じの封切りだったのかな?記憶、曖昧だけれど。
原監督の映画、この映画と「ゆきゆきて、神軍」ぐらいしか観てないのだけれど・・
孤独に急き立てられて、向かう場所はミニシアターか小劇場のそんな日々。マイナーな映画とマイナーな芝居に慰められて、
それよりはるかにマイナーに、僕は新宿大ガード下の歩道で詩集売り。
詩集売る僕の対面に、風のごとく現れたギター弾き。
「もし僕に彼女がいたら、もし僕の彼女になれば、毎日毎日おっぱいを、もんで、あげる、のに。大きくなりますように、大きくなりますように・・・」
同じ歌を歌い続けるだけ。
ギター弾きの歌に立ち止まる人も、僕の詩集を買う人もいない。
それでも、立ち続ける僕は「全身詩集売り」だった。
路上に座って、ただ、座り続けるだけの「全身占い師」の僕と、同じ僕。