そうきたか・・おれなら。

リュックのストラップに、薪を背負子で運ぶように、「トイレットペーパー12ロール入り」を横にして挟んで信号待ちをするその人は、クロスバイクっていうのかな?スポーティな自転車に乗っていた。

 

僕も同じ信号を、車で青になるのを待ってて・・この辺、ドラッグストア、ないよな・・あのトイレットペーパー、どこから持ってきたんだろ・・そしてどこに持っていくんだろ、と考えていた。

 

薪のようにトイレットペーパーを運ぶその姿が「悪くない・・むしろ、いい」と思えて・・そして、ちょっと憧れた。だから、自転車屋に行ってクロスバイクを買った。

 

自転車屋には車で乗り付けた。

 

自転車屋は「スポーツバイク専門」とかの店ではなくて、ママチャリその他、なんでも置いてるところで・・

 

自転車のことは僕は全然しらないけれど、スポーツバイク専門の店に行ったら、おそらく金銭感覚が崩壊してしまう・・あの「憧れの人」の姿が脳裏から離れ、魅せられた自転車に心が乗っ取られてしまう・・だろう・・そうなる自分は、脇にどけてもらった。

 

自転車屋には娘に同伴してもらい、娘に選択権を与えた。

 

娘は選んだ。

 

(そうきたか・・おれならこっちだが)と思ったりしながら、「これください」と店員に告げた。

 

カードで支払い、自転車の整備等を待つ間、一旦自転車屋を出て夕飯の寿司を車でスーパーに買いに行った。

 

娘が自分用の、パック入りの寿司を選んだ。(そうきたか・・おれなら・・)