変わらぬ「真理」

「月をみて悲しいのは月が悲しいからではなく人間が悲しいから」と、ヘーゲル左派の哲学者のフォイエルバッハが言っていた・・らしい。

 

少年時代の冬の夜、見上げた空の北斗七星やオリオン座。死んだら人は星になる、そう聞かされて、そう信じていたから、僕はこの空の、どのあたりに行くのかな、と思っていた、です。

 

北斗七星のその形は、長い歳月を経て変形する、と聞かされていたから、その、変形した北斗七星の頃、僕は、・・・・質問も答えも定まらない思いを、北斗七星を見上げながら思っていた、です。

 

吐く息が白い夜・・

 

裾の長い、母が買ってくれたキルトのガウンを着て、外の小屋に飼ってたウサギに人参とか、キャベツとか・・餌をあげに行って。

 

・・昨日の人参、全然食べてない。キャベツはよく食べるのに・・ウサギと言えば人参・・それは世の中の思い込みにすぎないな・・とか、思ってた、です。

 

世の中っていうのは、思い込みが蔓延しているのものだ、と思ってて、だから「信じる」っていうことがなかなかできない。・・で、・・なんていうんだろ・・誰かを、何かを、信じようとすると、その思いの旋律を伴奏するように、悲しみがこみあげてくる。

 

人は死んだら星になる・・僕は悲しく信じていた、です。

 

フォイエルバッハは月をみて、悲しかった。・・何かを信じてたのかな。

 

信じることは悲しいこと・・そう思った少年のころの僕のこの「真理」は、歳をとった今の僕にも「真理」で、・・変わらない。

 

この旋律と伴奏・・僕のなかにずっとある。