随分ストレス、たまってんだな

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あまり電車には乗らないのだけれど、乗る時には乗ります。

 

電車に乗る時には、カバンの中に、なにがしかの本を一冊、入れておきます。そして、電車の中で読みます。

 

でも、結構、本をカバンの中に入れるのを忘れることがあります。そんなときは、スマホでkindleアプリを開いて、そこにダウンロードされた本を読みます。

 

kindleには、グラビア写真集も入ってて、開きたくなったりします。そんな気持ちになったとき、思い出します。

 

スマホのスの字もない、20代だったころ・・つまりは随分昔、電車の吊革につかまって、電車に揺られてた夜、僕の目の前の、スーツを着た男性が、すんごく一生懸命、漫画雑誌を読んでいた。

 

結構混んでた電車の中で・・その男性の、漫画雑誌への気持ちの白熱は、すごかった。読んでいるページから、次のページに行かず、前のページをめくりなおし、その戻ったページをしばらく凝視してから、また、ページをめくり・・みたいに、ページの行ったり来たりを繰り返していた。

 

まさに、その漫画雑誌に、その男性は、脇目も振らず的に、食い入っていた。行ったり来たりのページをめくる音が、その人の気持ちの強さを鳴らしている・・そんな感じだった。

 

で・・すごいな、と思いながら、雑誌の絵を、覗き見ると、その雑誌はエロ漫画雑誌だった。

 

こんな公衆のなかで・・強者(つわもの)・・すげえな・・僕は思った。

 

その人の隣にも人は座っていたし、その人の前に立つ僕の隣にも人は吊革につかまって立っていたし・・

 

そんななかで、己の欲望に、衆目顧みず、忠実でいられるのは、なかなかできることではないと思った。

 

この人、壊れてる・・とも思った・・が・・すげえな・・思った。

 

よくわからないが・・なにかを教えてもらってる・・そう感じる自分がいた。今のこの人のような、そんな自分にはなりたくはないが、しかし、なにかを、教授されている・・

 

エロへの情熱?・・情熱?・・情熱だ。

 

その人は、とても情熱的だった。

 

ある駅に近づいて電車の速度が随分ゆるんだとき、その人は、エロ漫画をカバンに仕舞った。次の駅で降りるのかな?・・僕は思った。

 

そのようだった。

 

あんだけ集中してたのに、降り損なったりしないんだ・・

 

電車が完全に停車したタイミングで、その人は座席から立ち上がった。あ・・高校時代の先生だった。

 

一生徒に過ぎなかった僕には、全く気付かぬ様子で、先生は車内からホームに消えた。

 

・・随分ストレス、たまってんだな・・

 

頑張れ、って思った。

 

⇩ 桜と団子 西新井大師

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